私は、54歳で31年間勤めた会社を早期退職しました。退職が決まってから退職するまでの期間が短く、退職後に今後のことを考えざるを得ない状況でした。再就職について考えているうちに「もう働くことは無理である」という結論に至りました。
私が勤めていた会社は、急激な業績悪化の影響で、急遽、早期退職者を募りました。しかし、応募期間が約10日しかなかったため、私は「会社は慌てているな。ここで見切りをつける方が得策だ」と思い、熟考することなく、見切り発車的に応募して退職に至りました。
退職後、まずは2〜3週間休養して、自分の内面がどう変わるのかによって、今後を考えようと思っていました。その結果分かったことは、たった3週間程度では、マインドは会社員時代と何ら変わりないということです。
会社員時代の晩年、売り上げの低迷もあり社内の雰囲気は最悪でした。その影響で、私の心も荒んでいました。
心の疲れは、退職して3週間しても癒えず「もう1回どこかで働いて頑張ろう」という気持ちは、1ミリも湧いてきませんでした。
さらに、1か月、2か月・・・と経過しても状況は同じでした。むしろ、同じどころか悪化し、今では怖くて、世間に出て働くこともできないようになりました。
退職後にユーチューブなどを見ていると、私がいた会社以上に、人間関係が悪い会社が多々あることも知りました。
「五体不満足」の著者として有名な乙武洋匡さんですら、臨時教員として3年間小学校で勤めていた時に、職員室で他の教員からいじめにあったことを、自身のチャンネルで明かしています。
この話は昭和の時代でなく、ほんの10数年前というのですから、聞いていて怖くなりました。また、誰もが名前を聞いたことがある大企業を、わずか1年で退職した新卒社員の暴露話も強烈でした。
旧態依然の組織体制と息が詰まるような職場の雰囲気で、うつ病寸前だったという話です。このような話を聞いていると、私には、現在の日本の企業全てがブラック企業に思えてきたのです。
そんな怖い世の中に、私のような50歳を過ぎた早期退職者が、入っていけるはずがありません。明日食べるものがないなど、究極まで追い詰められれば、働くしかありません。しかし、そうでなければもう働かずに一生を終えたいという気持ちでいっぱいです。
子供の頃、日本は平和で豊かだと教えられ、それを信じて社会に出ました。早期退職をした今、そんな教えは「幻想だったのでは?」と、日々考え込んでいる今日この頃です。