軽度の高次機能障害がある73歳の男性の話です。体を動かすことが好きで、毎日の朝の散歩を楽しみに生活しています。普段は穏やかな性格ですが、ひとたびスイッチが入ると興奮し、大声を出して暴力を振るうことがあります。
介護施設への入居者が自由が少ないと感じている点は、自分のやりたいことを、やりたいときにすぐに実行できないことです。入居者のほとんどの方は、自身の病気を理解していません。
ですから施設に入っても、今までのスタイルを崩すことなく生活できると考えています。
もちろん、入居者の要望を聞き入れ、安心して暮らせる環境を作ることが大切ですが、人手不足の介護業界では、難しいのが現状です。
朝の散歩が日課だった男性は、自分の行きたい時間に散歩に行けず、怒りを感じ爆発してしまったのです。
しかし実際、入居者を一人で外に出すわけには行きませんし、朝の時間帯はスタッフも少なく、個人的な対応にも限界があります。
スタッフ同士で話し合い、昼過ぎにスタッフの手が空く時間帯に散歩の時間を確保することにしました。
初めは怒って、手がつけられなくなることもありましたが、毎日根気強く、散歩に誘い続けた結果、男性もその生活リズムに慣れ、解決しました。