車がないと生活できない田舎に腰を据えて30年。世間ではおじいちゃんと言われる年齢になりました。老人性鬱を患いながらも、ささやかな趣味で心を癒していた私でしたが、とうとう運転免許の返戻と向き合わねばならないときが来たようです。
老人性鬱と診断されたのは、今から数年前のことです。
信頼できる医師から“好きなことを生活に取り入れるように”と指導され、自宅から車で15分のゴルフの練習場に通っています。年に数回は車を2時間程走らせ、オープンコンペに参加したり、馴染みの友人たちとコースを回ったりもしています。
片田舎ですからバスは走っていませんし、電車も1時間に1本足らずです。そのような土地柄、私の移動手段はすべてが「車」です。
最近では子どもたちから免許の返戻を打診されますが、今ゴルフを失ったら、鬱が酷くなるのではないかという恐怖から、なかなか返戻できずにいます。
しかし、昨今、高齢者の運転による死傷事故が、ニュース等で度々世間を騒がせていることもあり、私としても他人事とは到底思えません。
警視庁が発表している「人的要因別にみた高齢運転者交通事故発生状況」では、「発見の遅れ」が実に81.6%も占めており、加齢による脳機能の衰えであると想像できます。
誰かに迷惑をかけてしまっては悔やみきれないので、私は2つの行動を起こしました。
1つ目は、老人会に参加したことです。初めての参加でしたが、同年代と情報交換ができ、老人でもできる趣味が色々あることを知りました。仲良くなった人からプラモデルを勧められ、早速、船づくりに挑戦してみました。これが、意外にもおもしろい!
鬱で不安に陥ることが度々あるのですが、プラモを作っている間は没頭できて、不安を一時的に忘れられます。新しい趣味ができて、ゴルフに通う頻度を少なくできそうです。
2つ目は、サポートカーの導入です。田舎が故に、生活必需品の購入や通院などで、まだまだ車は必要です。
運転のリスクを少しでも下げるために、次に購入する車はサポートカーにする予定です。資料を取り寄せたり、週末には妻と一緒にディーラーに相談に行っています。
現時点では、「免許の返戻」を決断できませんでした。今後は、車が不要な趣味をプラモ以外にも見つけたり、生活必需品の購入はネットスーパーを利用するなど、なるべく運転頻度を減らす努力をしたいと思っています。