現在70代。妻・息子と自宅で細々と自営業を営んでおります。ごくごく普通の高齢者として生活しておりましたが、ある時から「老人性鬱」を患いました。心身ともに健康には自信があった私が、まさか鬱になるとは。受け入れがたい現実ですが、日々、自分と向き合いながら、前を向いて生きています。
「老人性鬱」という言葉を聞いたことはありますか? 65歳以上の高齢者が、生活環境や体の変化、目標の喪失といった様々な事を原因に発症する心の病気です。
今から約20年前、50代の時に脱サラして今の会社を設立しました。四苦八苦しながらも充実した日々を送り、気付けば私も「高齢者」と呼ばれる年になっていました。
そんな私でしたが、数年前から心に異変を感じるようになったのです。就寝前になると、どうしても考え込んでしまうのです。例えば、“癌になるのでは?” “妻に先立たれるのでは?”等、考えても答えが出ないような事をひたすらに考え込み、不安に駆られてしまうのです。就寝前にそんな状態になるものですから、眠れないことも続き、悪夢のような日々でした。
しばらくたって心療内科を受診しましたが、鬱病ではありませんでした。ひとまず、精神安定剤を処方してもらい、就寝前に服用しました。“薬を飲んだ”という安心感も重なり、しばらくは気分の落ち着きを取り戻し、眠ることができました。
ところが、今度は日中も漠然とした不安に駆られるようになったのです。何度も病院に通い、先生に症状を訴えましたが、結果は変わらず。解決策を見い出せず、奈落の底に突き落とされたような気分でした。そんな私の様子を心配した家族が、セカンドオピニオンを勧めてくれて、別の病院を受診してみました。結果は「老人性鬱」でした。
はじめは、精神病と診断されるのが怖くて受診を躊躇していた私でしたが、「鬱」と診断され、“ようやく原因がわかった。治療ができる”と、安堵したのを今でも鮮明に覚えています。現在通っている医師とは相性がよく、一進一退ではありますが、心の平穏を取り戻しつつあります。
もしも、心に異変を感じたならば、私のように病院を受診することを躊躇せず、医師に相談してみてください。医師によって見解が異なることもあるので、診断に疑問を感じたら、セカンドオピニオンも検討してみてください。