現在56歳の男性です。早期退職して約3年が経過しました。ようやく会社員時代のリズムが抜け、第2の人生を謳歌していますが、ここに至るまでの経過は平坦ではありませんでした。
私は3年前の53歳の時に、早期退職をしました。理由は、役職についていない50代を会社が軽視するようになったからです。
退職するにあたっては妻からも「53歳で隠居って早くない?」と言われましたが、このまま定年までいる場所として会社はふさわしくないと思い、自分の意志を貫いて退職しました。
退職した後にいろいろなことが頭を駆け巡り、葛藤がありました。ちなみに退職したことそのものではなく、自分のこれまでの価値観やこだわりに大いに疑問を持つようになったのです。
例えば、お金の使い方です。会社員時代は、仕事のストレス解消で居酒屋によく行っていましたし、休日にやることがなければ、パチンコ屋で過ごすこともありました。
退職後の空いた時間に突き詰めて考えると、「自分はそんなことをしたくて生まれてきたのではない」と、思うようになったのです。
要するに、居酒屋やパチンコは、仕事のストレス発散のためにやっていた行為に過ぎなかったというわけです。
現役世代の方が聞くと、たわいもない話に聞こえるかもしれません。しかし、退職して収入が減ると、こういった「無駄遣い」と向き合うことにもなります。
そもそもこれは一部の大富豪を除けば、定年後も含め、多くの会社員が目の当たりにする現実です。
そして、私のように早期退職せざるを得なかったシニア会社員は、ある日突然、予期せずにこんな事態がやって来たりもします。
「日本社会の会社員は50代前後で早期退職するのが当たり前」という風潮があれば、30~40代の頃に準備も出来たでしょう。
しかし、現実にはそんなことはありません。割増退職金を出しているところもありますが、近年は、多くの企業が冷酷に役職のないシニア層を追い出しています。
ただ、入社時に定年まで働く気で入社した我々シニア世代のほとんどは、このような事態への準備が不足しています。
その上、世間では早期に退職すると「仕事もせずにブラブラしている」と、思われる風潮すらあります。
そのため、社会全体として「45歳以上は、早期退職を促される可能性がある」「そのために会社員は、30代からセカンドキャリアの準備をする必要がある」というムードを作らなければならないと思います。
そうでもしないと、急に人生プランの変更を余儀なくされたシニアは、一定期間、葛藤で苦しむことになります。私も1年くらい熟考する期間が必要でした。